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ワーキングプアとは?年収や定義、人数、解決策などを完全解説

2018年09月20日

|更新:2019年05月14日

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ライフ

 

ワーキングプアとは?その意味と定義

ワーキングプア(working poor)とは1990年代にアメリカで作り出された言葉で、日本語訳では「働く貧困層」と呼ばれています。
省略して「ワープア」とも。

自然発生的に作られた言葉であるため明確な定義はありませんが、
「正社員として、または正社員並にフルタイムで働いているのに貧困」
という状態・所得層を意味します。

ワーキングプアの年収

ワーキングプアとして規定された明確な年収はありませんが、おおよその目安として年収200万円未満を指すことが多いようです。

正社員並にフルタイムで働いたとしても十分な収入がもらえない状態であれば、ワーキングプアといえるでしょう。

具体的な金額で言うと、額面の月額給与が10万円台前半であればワーキングプアの状態といえます。

ワーキングプアが生まれた原因

ワーキングプアは、いくつかの要因が複雑に絡み合った結果生み出されたものです。

まず、第一にバブル崩壊後からの日本の景気後退がその根本的な原因です。

その結果として

1.企業が人件費を抑制するようになった。

どんなに業績が悪化しても、簡単には人件費だけは削減できない。
企業はその事実をバブルの痛手と共に知ることになった。
結果として、人材採用に慎重になり、給与も抑える方向へとシフトした。

2.労働市場の規制が緩和され派遣社員や契約社員などの非正規雇用が増加した。

企業が人件費を抑制することと連動して、安い賃金で雇用でき、なおかついつでもクビを切ることのできる非正規雇用が増加した。

非正規雇用者は容易な仕事しか与えられないため、スキルが磨かれることなく年齢だけを重ねていくことになる。
そのため一度、非正規(ワーキングプア層)になると抜け出すことが難しくなる。

3.経済のグローバル化で国際競争が激しくなった

かつては日本国内で全ての工程を賄っていた日本企業も経済のグローバル化によって世界規模でのコスト競争が発生したことによって、単純労働はできる限り、人件費の安い海外に移すようになった。

結果として日本国内の就職先が減少し、経済も縮小。
かつてのような正社員採用や終身雇用が衰退する事に。

上記の様な要因が絡み合った結果、低賃金でも働かざるを得ない「ワーキングプア」が日本社会を浸食することになりました。

ワーキングプア(年収200万円未満)の割合

まずは就業構造基本調査から抽出した、非正規の割合推移をご覧ください。

※総務省 就業構造基本調査(2017年)より

バブルが崩壊した1990年前半は約20%だった非正規率は2017年には約38%にまで上昇しています。

ワーキングプアの割合(男女計)

年収200万円以下 合計 割合
1999年 803万7299人 4498万3789人 17.9%
2000年 824万6983人 4493万9067人 18.4%
2001年 861万5665人 4509万6540人 19.1%
2002年 852万9561人 4472万4071人 19.1%
2003年 902万397人 4466万1234人 20.2%
2004年 963万1881人 4453万192人 21.6%
2005年 981万1620人 4493万5897人 21.8%
2006年 1022万7540人 4484万5126人 22.8%
2007年 1032万3045人 4542万4696人 22.7%
2008年 1067万4609人 4587万2872人 23.3%
2009年 1099万8743人 4505万6480人 24.4%
2010年 1045万2456人 4551万9825人 23%
2011年 1069万2453人 4565万7213人 23.4%
2012年 1089万9990人 4555万6011人 23.9%
2013年 1119万8922人 4645万4211人 24.1%
2014年 1139万1942人 4756万2672人 24%
2015年 1130万7903人 4793万9728人 23.6%
2016年 1132万3178人 4869万1042人 23.3%
2017年 1085万1737人 4945万739人 21.9%

ワーキングプアの割合(男)

年収200万円以下 合計 割合
1999年 175万338人 2838万5569人 6.2%
2000年 186万7584人 2838万8636人 6.6%
2001年 195万7138人 2834万2439人 6.9%
2002年 192万6172人 2811万4487人 6.9%
2003年 212万7319人 2803万3418人 7.6%
2004年 239万9822人 2752万2213人 8.7%
2005年 244万5272人 2773万9437人 8.8%
2006年 263万19人 2745万2147人 9.6%
2007年 263万5186人 2781万8658人 9.5%
2008年 278万2454人 2781万7534人 10%
2009年 298万5177人 2719万2588人 11%
2010年 267万7286人 2728万6395人 9.8%
2011年 276万8561人 2730万7970人 10.1%
2012年 293万9803人 2726万2168人 10.8%
2013年 293万5482人 2753万5369人 10.7%
2014年 301万3207人 2805万85人 10.7%
2015年 295万1677人 2831万3613人 10.4%
2016年 298万3830人 2862万2202人 10.4%
2017年 291万4401人 2935万6926人 9.9%

ワーキングプアの割合(女)

年収200万円以下 合計 割合
1999年 628万6961人 1659万8220人 37.9%
2000年 637万9399人 1655万431人 38.5%
2001年 665万8527人 1675万4101人 39.7%
2002年 660万3389人 1660万9584人 39.8%
2003年 689万3078人 1662万7816人 41.5%
2004年 723万2059人 1700万7979人 42.5%
2005年 736万6348人 1719万6460人 42.8%
2006年 759万7521人 1739万2979人 43.7%
2007年 768万7859人 1760万6038人 43.7%
2008年 789万2155人 1805万5338人 43.7%
2009年 801万3566人 1786万3892人 44.9%
2010年 777万5170人 1823万3430人 42.6%
2011年 792万3892人 1834万9243人 43.2%
2012年 796万187人 1829万3843人 43.5%
2013年 826万3440人 1891万8842人 43.7%
2014年 837万8735人 1951万2587人 42.9%
2015年 835万6226人 1962万6115人 42.6%
2016年 833万9348人 2006万8840人 41.6%
2017年 793万7336人 2009万3813人 39.5%

民間給与実態統計調査から抽出した年収200万円以下の人数と割合のデータです。

1999年から継続して増加傾向でしたが、景気回復と人手不足による賃金の上昇もあり、2014年頃からワーキングプア層は減少しています。

◇女性は人数こそ増加しているが、ワーキングプア層の割合はさほど変化はない。
◇男性は人数も割合も共に増加している。

実はこの統計を調査するまでは、非正規雇用は男性も女性も増加しているため、年収200万円未満のワーキングプア層も男性・女性共に増加し続けていると考えていました。

しかし、実際には女性の数値にはさほど変化はなく、男性のみ年収200万円未満が増加しているという全く意外なデータとなっています。

正規採用を企業が厳選した結果、正規で働く事の多かった男性が主に割を食う形になったのかもしれません。

kiji

ワーキングプア層増加による問題

ワーキングプア、低所得者の増加は日本社会にとって何ひとつ良いことはありません。

ワーキングプアが増加することによって引き起こされる問題は様々なものがありますが、最終的には日本の根幹を揺るがすほどの惨状を引き起こす可能性すらあります。

◇日本経済の困窮
◇貧困の連鎖・固定化
◇少子化の進行

まず、ワーキングプア層は収入が少ないために結婚して子供を育てることが厳しいという現実があります。低収入層は結婚にも出産にも消極的です。
そうすると出生率が低下して、日本全体で少子化が進行します。

少子化が進行すると国の経済力が低下し、不況になっていきます。

不況になるとまた企業が雇用に力を入れることができなくなり、非正規やワーキングプア層が増加していきます。

後はエンドレスに悪循環のループが継続され、最終的には日本の経済が破綻してしまう可能性すらあるのです。

弁護士や税理士、公務員も例外ではない

◇弁護士
・人員増加による就職難。
・ライバル増加による仕事が満足に取れない低所得弁護士の出現。

◇税理士
・税理士の人員増加。
・クラウド会計の登場による業務の減少。

◇公務員
・公務員自体の収入・待遇は下がっていないが、賃金の低い有期雇用の非正規職員・非常勤職員が増加している。

など、有名資格の弁護士や税理士でも年収200万円に満たないワーキングプア層が増加傾向にあるといいます。

かつては資格を取得するだけで、それなりの収入が約束されていた人気資格ですが、現在では資格に加えて営業力がなければ十分な収入が得られないようになってきています。

ただ、絶望的に収入が低いワーキングプア層と比較すると、その資格や知識を活かして「企業に就職」という選択肢がとれる分、真のワーキングプア層とは問題の根深さが異なるように思えます。

採用試験に合格した公務員は現在でも大企業クラスの収入が約束されています。
その一方で人手不足を補う形で雇用される有期雇用の非常勤職員が増加しています。
非常勤職員の給与は最低賃金を少し上回る程度で、似たような業務を担当している正規の公務員とは倍近くの給与差になることもあります。

国がその様な状況を作り出して良いのか?という意味も込めて「官製ワーキングプア」とも呼ばれています。

ワーキングプアと生活保護の収入比較

「ワーキングプアとして働くなら生活保護をもらった方がましだ。」といった意見もマスコミで盛んに報道されていますが、実際はどうなのかを実際の数値を使用して検証してみました。

日本の代表的な都市である、東京23区と大阪府大阪市の生活保護支給額です。
※2018年データ

都道府県 生活保護支給額
東京都23区
(30歳独身)
13万2930円
東京都23区
(30歳・小学生1人)
18万8630円
東京都23区
(30歳・小学生2人)
23万9560円
大阪府大阪市
(30歳独身)
11万9230円
大阪府大阪市
(30歳・小学生1人)
17万2630円
大阪府大阪市
(30歳・小学生2人)
22万1760円

東京都

東京都23区で30歳独身の場合、生活保護費は約13万2千円。
年収は158.4万円。

東京都の最低賃金は時給約985円(2018年10月)ですから、時給985円x8時間x22日出勤として、月給17万3360円となり、生活保護費よりも約4万円程度高くなります。

大阪府

大阪府大阪市で30歳独身の場合、生活保護費は約11万9千円。
年収は142.8万円。

大阪府大阪市の最低賃金は時給約936円(2018年10月)ですから、時給936円x8時間x22日出勤として、月給16万4736円となり、生活保護費よりも約4万5千円程度高くなります。

この結果を見る限りでは、独身の場合は生活保護費が正規の労働者よりも高くなるということはなさそうです。

子供がいるケース

ただし、子供が一人でもいる場合は、東京・大阪共に生活保護費の方が収入は高くなります。

都道府県 生活保護支給額 正規労働者
東京都23区
(30歳・小学生1人)
18万8630円 17万3360円
東京都23区
(30歳・小学生2人)
23万9560円 17万3360円
大阪府大阪市
(30歳・小学生1人)
17万2630円 16万4736円
大阪府大阪市
(30歳・小学生2人)
22万1760円 16万4736円

子供がいてもいなくても、正規の労働者の収入が増える事はありませんが、生活保護費は家庭の状況に応じて支給されるため増額となり、数字の上では生活保護の方が得になる計算になります。

「生活保護の方が得」というマスコミ報道も子供が存在している状態であれば、「真実」という結果となりました。

kiji

ワーキングプアの解決策

ワーキングプアの解決策としては「個人」と「国」の解決策があります。

国の解決策

国として行うべき対策はワーキングプアが発生するような仕事・賃金を認めないこと。
具体的には

・最低賃金の増額
・派遣社員など不安定雇用の禁止

上記の二つを見直すことができれば、確実にワーキングプアは根絶が可能です。

ただ、日本企業全体が協力して、更に企業として従業員に十分な賃金を支払えるだけの大きな利益をあげることが条件となり、実現はほとんど不可能です。

個人としての解決策

仮にあなたがワーキングプアの職場で働いているとすれば、その職場を抜け出すしか方法はありません。

・賃金の低い仕事には就かない
・資格職、技術職、専門職を目指す。手に職をつける仕事を目指す。

低賃金のほとんどは誰でもできる単純労働で、特殊な知識や技量が必要な仕事ほど賃金は高くなります。
単純労働は避けて、必要とされる「技術・知識」を身につけることが、安定した収入を得るための王道といえます。

2019年現在は人手不足が顕著化し、転職業界は空前の売り手市場です。
自身を高く評価してくれ、なおかつ技術と知識を得られる職場を選択することが、最善の解決策といえるでしょう。

この記事を書いた人
年収ガイド運営チーム

様々な専門知識を持ったスペシャリストチーム。
金融・人材系の知識が強い。

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